RECORD NO.079 · 江戸の日本
毒消し売り
Antidote peddler
◆絶滅〜昭和日本(越後等)⑥ 医学・科学の更新④ 生活様式・インフラ
要約
「毒消しゃいらんかね」の声とともに、家庭常備薬を売り歩いた行商。多くを農閑期の女性が担った出稼ぎだった。
しごとの中身
越後などの産地で作られた毒消し(食あたりなどに効くとされた民間薬)を、女性たちが行李に詰めて担ぎ、遠方まで売り歩く。農閑期の貴重な現金収入源で、独特の売り声と絣の装いは行商の風物詩だった。得意先を毎年訪ねる、信用と顔なじみの商いだった。
道具
薬の行李売り声得意先のルート絣の旅装
きえたわけ
20c—薬事制度の整備と医薬品流通の近代化が進む
昭和—薬局・製薬会社の商品が家庭に行き渡る
以後—行商による薬売りが姿を消す
家庭の薬箱が、行商から薬局と製薬メーカーの商品に置きかわった。制度化された医薬品流通が、素朴な民間薬の行商を吸収した。
豆ちしき
越後の毒消し売りは民謡にも歌われ、女性の集団的な出稼ぎ労働として地域経済を支えた。薬そのものより、それを運んだ女性たちの労働の記憶のほうが色濃く残っている。
この仕事の系譜
毒消し売り → 製薬・薬局



