RECORD NO.080 · 江戸の日本
富山の薬売り
Toyama medicine peddler
◇変質〜現在日本④ 生活様式・インフラ
要約
「先用後利」——先に薬を預け、使った分だけ後で集金する配置薬の行商。サブスクの江戸版ともいえる仕組みで、今も細く続く。
しごとの中身
各家庭に薬箱を預けておき、年に一、二度訪問して使った分の代金を精算し、薬を補充する。信用が前提の「使った分だけ後払い」モデルで、全国の得意先を巡回した。子どもへの紙風船などのおまけや、世間話を運ぶ役目も担い、地域とのつながりが商売の土台だった。
道具
薬箱(配置薬)懸場帳(顧客台帳)おまけの紙風船信用
きえたわけ
20c後半—ドラッグストアやネット通販が薬の入手を容易にする
現在—高齢化した得意先とともに市場が縮小
継続中—配置薬ビジネスとして規模を縮めながら存続
「必要なときに使い、使った分だけ払う」という先進的なモデルは、皮肉にも小売とネットの利便に押されている。仕組みは古びていないのに、担い手が細っていく変質・縮小型である。
豆ちしき
「先用後利」は、顧客の信用を前提に商品を先に届ける仕組みで、現代のサブスクリプションやフリーミアムに通じる発想。300年前の富山に、いまのビジネスモデルの原型があった。
この仕事の系譜
富山の薬売り → 配置薬ビジネスとして縮小存続



