RECORD NO.009 · 前近代の世界
泣き女
Professional mourner
◇変質世界(日本の「泣きばい」含む)④ 生活様式・インフラ
要約
葬儀で、遺族に代わって声をあげて泣く。悲しみの表現を代行する職業は、古代から世界中に存在した。
しごとの中身
依頼を受けて葬列や通夜に加わり、泣き声と嘆きの文句で場の悲しみを盛りあげる。声の大きさや泣きぶりが故人の格を示すとされた社会では、立派な葬儀に泣き女は欠かせなかった。日本にも「泣きばい」などと呼ばれる同じ仕事があった。
ただ泣けばいいのではなく、故人の生涯を織りこんだ即興の哀歌をうたう技能職でもあった。
道具
声涙即興の哀歌喪服
きえたわけ
近代—「悲しみは身内が静かに」という葬儀観が広がる
20c—葬儀の簡素化・産業化で演出の需要が減る
現在—東アジアなど一部地域では今も現役の依頼業
完全には消えていない。感情の代行という仕事は、文化が変われば需要が戻る。「消滅」と「現役」が地域によって同居する珍しいカードである。
豆ちしき
古代エジプトの壁画にはすでに雇われた泣き女の行列が描かれている。記録に残るかぎり、人類最古級の感情労働といえる。
この仕事の系譜
泣き女 → 葬儀サービス業



