RECORD NO.020 · 産業革命の世界
死体盗掘人
Resurrectionist
◆絶滅〜1832英⑤ 制度・法律
要約
解剖学の発展期、医学校は慢性的な遺体不足だった。夜の墓地から「教材」を掘り出して売る闇商売が成立し、法律一本で消滅した。
しごとの中身
埋葬されたばかりの墓を夜中に掘り、遺体を医学校へ売る。音を立てないよう木製のシャベルを使い、掘るのは頭側だけ、遺体を引き出したら現場を元通りに整える——手口は職人的に洗練されていた。遺体は法的に「財産」でなかったため、盗んでも窃盗罪に問いにくいという法の穴が商売を支えた。
道具
木のシャベルロープと鉤覆いの布月のない夜
きえたわけ
1828—供給が殺人にまでエスカレートした事件が発覚し、世論が沸騰する
1832—英・解剖法が成立し、遺体の合法的な供給制度ができる
以後—闇市場は消滅し、献体制度が引き継ぐ
需要を合法ルートに付け替えることで、闇商売は一夜で干上がった。禁止ではなく制度設計で職業を消した例である。
豆ちしき
きっかけとなったバークとヘアの事件(1828)は、掘るのが面倒になった二人組が「新鮮な遺体」を自作しはじめたという最悪の形の効率化だった。法律の名前に事件の記憶が刻まれている。
この仕事の系譜
死体盗掘人 → 献体制度



