RECORD NO.023 · 産業革命の世界
採氷人
Ice cutter
◆絶滅〜20c初米・北欧① 電化・機械化
要約
冷凍機のない時代、氷は冬の湖から切り出す天然資源だった。凍った湖上で氷塊を採る、季節限定の重労働である。
しごとの中身
真冬、湖の氷が十分な厚さになると出漁ならぬ「出氷」。表面の雪を馬でかき、碁盤の目に線を引き、大鋸で人力で切り出す。氷塊は水路を流して岸へ運び、おがくずで包んで氷室に貯蔵した。夏まで溶かさず保つのも技術のうちだった。
19世紀には氷は国際商品となり、採氷は一大産業を支えた。
道具
氷鋸馬とそり氷用トングおがくず
きえたわけ
19c末—機械製氷(人造氷)が実用化される
20c初—「天然氷は不衛生」の風評も重なり市場を失う
以後—氷は「採る」ものから「作る」ものへ
天候頼みの天然資源が、季節を問わない工業製品に負けた。いま天然氷は、一部のかき氷屋が守る嗜好品として細く残る。
豆ちしき
米国の「氷王」フレデリック・チューダーは、ボストンの湖の氷を船でインドのカルカッタまで輸出して財を成した。溶ける商品を赤道を越えて運ぶ——19世紀でもっとも無謀で、成功した物流である。
この仕事の系譜



