RECORD NO.042 · 産業革命の世界
葉巻工場朗読者
Lector
◆絶滅〜20cキューバ・米⑦ メディア・娯楽の交代
要約
葉巻工場の作業場で、職人たちに新聞や小説を読み聞かせた朗読のプロ。雇い主は会社ではなく、労働者自身だった。
しごとの中身
単調な手作業がつづく工場の一段高い椅子に座り、午前は新聞と政治評論、午後は小説を朗読する。給料は職人たちが賃金から出し合い、何を読むかも投票で決めた。読み手の声と教養が職場の質を決める、文化の給水塔だった。
道具
よく通る声新聞と小説一段高い椅子職人たちの投票
きえたわけ
1920s—ラジオが工場に持ちこまれはじめる
1930s—経営側が「扇動的」として朗読者を排除する動きも重なる
以後—作業場の声はスピーカーに置きかわる
労働者が自腹で雇った知性は、電波の一斉配信に敗れた。いまキューバとフロリダの一部工場で、伝統として細々と復活している。
豆ちしき
葉巻の高級銘柄「モンテクリスト」は、工場で朗読され職人たちに愛された小説『モンテ・クリスト伯』から名づけられた。商品名の中に、朗読者の声が保存されている。
この仕事の系譜
葉巻工場朗読者 → ラジオ



