RECORD NO.073 · 江戸の日本
金魚売り
Goldfish peddler
◆絶滅〜昭和日本④ 生活様式・インフラ
要約
天秤棒に金魚の桶を提げ、「きんぎょ〜え〜きんぎょ〜」の売り声で夏の町を歩いた季節の行商。夏の音風景だった。
しごとの中身
夏の午後、水を張った浅い桶に金魚を泳がせて担ぎ、涼を求める人々に売り歩く。金魚は江戸期に庶民の娯楽として広まり、涼しげに泳ぐ姿が夏の風物詩になった。売り声はゆったりと間延びして、暑い午後の空気に溶けた。
道具
天秤棒と金魚桶独特の売り声金魚をすくう網涼を演出する所作
きえたわけ
高度成長期—ペットショップや縁日が金魚の入手先になる
20c後半—生活様式の変化で流し売りの行商が減る
以後—金魚売りの声が町から消える
売り声とともに季節を運ぶ商いは、店舗と娯楽の多様化で居場所を失った。金魚すくいの屋台に、その記憶がかろうじて残る。
豆ちしき
金魚売りの売り声は落語や俳句にも詠まれ、夏の季語のように扱われた。姿より先に声が文化になった行商——音そのものが、消えた職業の記念碑である。
この仕事の系譜
金魚売り → ペットショップ



