RECORD NO.087 · 明治〜昭和の日本
都電運転手
Tram driver
◇変質〜昭和日本④ 生活様式・インフラ
要約
街の真ん中を走る路面電車を運転した。網の目のように張り巡らされた都電は、自動車の増加とともに次々と廃止された。
しごとの中身
マスコンとブレーキハンドルを握り、道路の中を走る電車を操る。自動車や自転車、歩行者が同じ路面を共有するため、常に周囲に気を配りながら定時運行を守った。カーブでの速度、雨天の制動、混雑時の乗降——都市の交通を「道路の上の鉄道」として成立させる技術だった。
車掌と二人一組で一両を担い、チンチンという発車合図の鐘が街の音風景になっていた。
道具
マスコンブレーキハンドル発車の鐘路面の状況を読む目
きえたわけ
1960s—自動車が急増し、路面電車が渋滞の原因とされる
1967〜72—東京都電の大半の路線が廃止される※
以後—都市交通は地下鉄とバスへ移行する
電車が邪魔者になったのではなく、道路の主役が入れ替わった。近年、環境面から路面電車(LRT)が再評価されており、消えた判断そのものが問い直されている。
豆ちしき
東京では荒川線(東京さくらトラム)だけが生き残り、いまも運転士が現役で走らせている。全廃寸前の路線が、逆に貴重な観光資源として愛される存在になった。
この仕事の系譜
都電運転手 → 地下鉄・バス(荒川線等に少数残存)



