RECORD NO.090 · 明治〜昭和の日本
切符切り
きっぷきり / Ticket puncher
◆絶滅〜1990s日本② 通信・デジタル化
要約
自動改札の前、駅の改札には駅員が立ち、乗客の切符に一枚ずつ鋏を入れていた。ラッシュの改札に響くカチカチという音は、駅の音そのものだった。
しごとの中身
改札口に立ち、差し出される切符を受けとり、改札鋏でパチンと切りこみを入れて返す。ラッシュ時は1秒に1枚以上。流れを止めないよう、切符が来ない合間も鋏をカチカチと空打ちしてリズムを保った。あの音は癖ではなく、手を止めないための技術だった。
同時に、切符の区間や日付をひと目で確認し、キセル(不正乗車)を見抜くのも仕事のうち。何百種類もの切符を瞬時に判別する、動体視力と記憶の職人だった。
道具
改札鋏制帽定期券の見本帳
きえたわけ
1967—世界初の自動改札機が阪急北千里駅に設置される
1990前後—首都圏のJR・私鉄に自動改札が一斉導入される
2000s—ICカードの登場で、切符そのものが減りはじめる
改札鋏の音は、平成のはじめに全国からほとんど一斉に消えた。いま「入鋏」の名残は、有人通路でもらえるスタンプにかすかに生きている。
豆ちしき
鋏で切り抜かれる穴の形は、じつは駅ごとにちがった。丸、三角、家型——どの駅で改札を通ったか判別して不正を防ぐためで、切り口の形を集めた「鋏痕コレクション」は今も鉄道ファンの世界に残っている。
この仕事の系譜
切符切り → 自動改札機→ICカード



