RECORD NO.102 · 明治〜昭和の日本
鋳掛屋
Tinker
◆絶滅〜昭和日本④ 生活様式・インフラ
要約
穴の空いた鍋釜を、その場で溶接して直して回った修理業。「直すより買う」時代に敗れた。
しごとの中身
天秤棒でふいごと炭火を担いで路地を回り、「鋳掛け〜」の声で客を集める。穴の空いた鍋や釜を受け取り、その場で炭火をおこし、溶かした金属で穴を塞ぐ。数十分で修理が終わり、鍋はまた何年も使えた。金属が貴重だった時代の、循環経済の担い手である。
道具
ふいごと炭火るつぼ溶かす金属天秤棒
きえたわけ
戦後—アルミやステンレスの安価な鍋が大量生産される
1960s〜—「壊れたら買い替える」が当たり前になる
以後—修理する経済が消える
修理代より新品のほうが安い——その瞬間、修理業は成立しなくなった。技術ではなく、価格構造が職業を殺した例である。
豆ちしき
近年、修理して使い続ける文化がサステナビリティの文脈で見直され、「修理する権利」が世界的に議論されている。鋳掛屋を消した価格構造そのものが、いま問い直されている。
この仕事の系譜
鋳掛屋 → 買い替え文化



