RECORD NO.105 · 明治〜昭和の日本
三助
さんすけ / Sansuke
◆絶滅〜2010年代日本④ 生活様式・インフラ
要約
銭湯で客の背中を流すことを仕事にした男性たち。江戸から続いた湯屋の名物職は、内風呂の時代をこえて、平成の終わりぎわまで生きのびた。
しごとの中身
番台で「流し」を頼むと木札が渡され、浴場に「ながしー」と声がかかる。三助は客の背後にひざをつき、手ぬぐいと石鹸で背中をこすり、肩をもみ、湯をかけて仕上げる。力加減とリズムがすべての、手のひらの職人技だった。
もともとは釜焚き・湯加減の調整・下足番など銭湯の力仕事全般を担う奉公人で、背中流しはその花形業務。江戸の湯屋文化を支えた裏方であり、主役でもあった。
道具
手ぬぐい石鹸桶木札
きえたわけ
1960s〜—内風呂の普及で銭湯そのものが減りはじめる
平成—三助を置く銭湯が数えるほどになる
2010s—東京の銭湯で働いていた「最後の三助」が引退する
風呂が家のなかに入ったとき、背中を流してくれる他人は日常から消えた。最後のひとりの引退が新聞で報じられた、「命日」の記録が残る職業である。
豆ちしき
「三助」の名は、湯を沸かす火の番・湯加減・背中流しの「三つを助ける」からきたという説がある。江戸時代には力自慢で気風のいい三助は町の人気者で、モテる職業としても知られていた。
この仕事の系譜
三助 → 内風呂の普及



