RECORD NO.136 · 平成の日本
場立人・才取人
Floor trader
◆絶滅〜1999日本② 通信・デジタル化
要約
証券取引所の立会場で、手サインを飛ばして売買を成立させた職人。1999年の閉場日という、明確な「命日」を持つ職業である。
しごとの中身
場立人は証券会社から立会場に派遣され、注文を手サイン(手振り)で場に伝える。才取人はその売り買いを付け合わせて値段を決める。指の形と手の高さで銘柄・値段・数量を表し、怒号の中で瞬時に商いを成立させた。全身を使った、生身の取引システムだった。
道具
手サイン通る声場の空気を読む力立会場の熱気
きえたわけ
1980s〜—株式売買のシステム化が進む
1999.4.30—東京証券取引所の立会場が閉場する※
以後—売買は完全にコンピュータの中へ
閉場の日、立会場に拍手が起きたという。人間の手サインが作っていた市場は、その日を境にサーバーの中の出来事になった。命日が分単位で分かる、稀有な職業である。
豆ちしき
手サインは指の形と位置で数字を表す独自の言語で、熟練者は騒音の中でも遠くの相手と正確にやりとりできた。市場を動かしていたのは、電気信号ではなく指の形だった。
この仕事の系譜
場立人・才取人 → 電子取引→アルゴリズム取引



