RECORD NO.014 · 前近代の世界
御椅子係
Groom of the Stool
◆絶滅〜18c英宮廷⑤ 制度・法律
要約
イングランド国王の用便の世話をする係にして、宮廷でもっとも王に近い最側近。もっとも私的な時間に同席できる者が、もっとも深い機密を握った。
しごとの中身
王の身のまわり、とりわけ排泄と着替えという最も無防備な時間の世話を務める。王がひとりになる唯一の場面に立ち会えるため、そこで交わされる本音とささやきがこの係に集まった。やがて王の私的な財布の管理まで任され、事実上の側近筆頭に。
汚れ仕事どころか、貴族の子弟が争って就きたがる出世の登竜門だった。
道具
携帯用の御椅子亜麻布王の本音沈黙の守秘
きえたわけ
16c—ヘンリー8世期に権勢の頂点を迎える
17〜18c—宮廷改革のたびに役目が縮小・改称される
19c—近代化した王室から役職が姿を消す
王の私生活が制度から切り離されたとき、私生活に食いこむ官職も不要になった。権力の形が変わると、権力への近道も消える。
豆ちしき
「王のトイレ係」は、実質的には王の秘書室長兼財務顧問だった。地位の名前と実態がこれほど乖離した役職は、歴史上そう多くない。
この仕事の系譜
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