RECORD NO.015 · 産業革命の世界
計算手
けいさんしゅ / Human Computer
◆絶滅〜1960s米・欧① 電化・機械化② 通信・デジタル化
要約
電子計算機が生まれるずっと前、複雑な計算はすべて人間の手で行われていた。「計算手」——英語で Computer——は、天文台や研究所で数表をつくりつづけた専門職。
しごとの中身
電子計算機がない時代、天文台・軍・研究所には「計算室」という部屋があり、数十人の計算手が机を並べて対数表や弾道表をつくりつづけていた。一人が出した答えは、かならず別の一人が検算する。ふたつの答えが一致するまで、何度でもやり直す。
多くは女性の職場だった。NASAの前身NACAの計算室は「スカートをはいたコンピュータ」と呼ばれ、彼女たちの手計算が、のちに人類を月へ運ぶ軌道の土台になった。
道具
そろばん計算尺手回し計算機数表とえんぴつ
きえたわけ
1946—電子計算機ENIACが登場する
1950s—研究機関に電子計算機がゆきわたる
1960s—計算室が閉鎖。「computer」の名だけが機械にのこる
機械のほうが速く、まちがえなかった。けれど計算のしくみをいちばん知っていたのは計算手たちで、その多くは初期のプログラマーに転身した。人類最初のプログラマーは、機械に仕事をゆずった側の人々だった。
豆ちしき
求人広告には「計算手求む。ただし計算ぎらいはお断り」と書かれた。映画『ドリーム』(2016)は、この職業の最後の世代を描いた実話である。
この仕事の系譜



