RECORD NO.016 · 産業革命の世界
ノッカーアップ
のっかーあっぷ / Knocker-up
◆絶滅〜1970年代英・愛・蘭① 電化・機械化
要約
目覚まし時計がまだ高級品だった時代、朝、契約者の家の窓を叩いて起こして回る仕事があった。イギリスの工業都市で、労働者の一日はこの音から始まった。
しごとの中身
夜明け前の暗い街を、長い竹竿をかついで歩く。契約者の家に着くと、2階の寝室の窓をコツコツと叩く。返事があるまで、立ち去らないのがプロの流儀。上の階に届かないときは、豆鉄砲でエンドウ豆を窓に撃つ者もいた。
料金は週に数ペンスの契約制。工場のシフトに合わせて何十軒も回るので、順路と時刻をぜんぶ頭に入れておく必要があった。契約していない家の窓は、決して叩かない。タダで起きられては商売にならないからだ。
道具
長い竹竿豆鉄砲とエンドウ豆懐中時計ランタン
きえたわけ
19c末—目覚まし時計が量産され、値段が下がりはじめる
1920s〜—電気の普及とともに各家庭に時計がゆきわたる
1970s初頭—最後のノッカーアップが引退する
安くて正確な機械に、人間の足が勝てるはずもなかった。それでも産業革命から100年以上、イギリスの朝はこの職業が支えていた。
豆ちしき
「では、ノッカーアップを起こすのはだれか?」——当時から定番のなぞなぞだった。答えは「だれも起こさない」。彼らは夜ふかしする夜型の人や、夜勤明けの労働者がなる仕事だったからだ。
この仕事の系譜



