RECORD NO.017 · 産業革命の世界
点灯夫
てんとうふ / Lamplighter
◇変質〜20c欧・米① 電化・機械化
要約
電気がまだない時代、街灯はガス灯だった。夕暮れに一本ずつ火をともし、夜明けにまた一本ずつ消して回る。街の夜は、この仕事がつくっていた。
しごとの中身
日が沈むころ、点火棒という長い棒をかついで受け持ちの通りへ出る。棒の先には小さな炎やフック。ガス灯の弁を開け、火を移すと、ぽっと通りが明るくなる。ひと晩に何十本、多い者は百本以上をともした。
仕事は点けて終わりではない。夜明け前にもう一度おなじ道を歩いて、一本ずつ消して回る。昼間はガスマントルの交換やガラスの掃除。毎晩おなじ時刻におなじ道を歩くので、街のだれよりも街にくわしい存在だった。
道具
点火棒はしご替えのガスマントルみがき布
きえたわけ
1880s—電気街灯が登場する
20c前半—ガス灯が電灯に置きかわり、自動点灯になる
現在—ロンドンに数名だけ、儀礼的に現役がのこる
スイッチひとつで街じゅうが点く時代に、一本ずつ歩いて回る理由はなくなった。ただし完全には絶滅していない。ロンドンでは今もおよそ1500基のガス灯が現役で、それを守る点灯夫がほんの数名だけ働いている。
豆ちしき
『星の王子さま』に出てくる点灯夫は、1分ごとに日が沈む小さな星で、命令のままに点けては消しをくり返す。サン=テグジュペリがこの職業を選んだのは、それが「自分以外のもののために働く唯一の大人」だったからだといわれる。
この仕事の系譜



